夏を送るサイダーと俺 第一章③ 救いの女子高生
どうも皆さんこんにちは!かものかもです!今回は「夏を送るサイダーと俺(仮)」
の第一章の3話目です。もう題名は「夏を送るサイダーと俺」でいいな…。
それではどうぞ!
夏を送るサイダーと俺
第一章
救いの女子高生
タバコ屋に戻ると、日はすっかり暮れていて月が顔を出していた。
店のシャッターを閉める必要はない。この世界には、自分とたまに来る死者しかいない。だから、泥棒などの心配はない。
さっきのばぁさんとのやり取りを思い出し、俺は感傷に浸りまくっていた。
「いってぇ!」
雰囲気をぶち壊したのは、地面に散らばった招き猫の破片だった。
「こいつ、執念ぶけぇな…。」
散らばった招き猫を掃除し、タバコの在庫を確認する。といってもなぜだかタバコは自然に増えるため、確認の必要はない。
この世界は不思議なことだらけだ。タバコは自然に補充されるし、転生待ち死者はどこからか湧いてくる。
いつ死者が来てもいいように、カウンターで腕を枕にして寝る。シャッターを閉めない理由の一つでもある。
「誰でもいいから…。仲間が欲しいなぁ…。」
俺のつぶやきは、儚く虫たちの合唱にもみ消されていった。
* * *
「ねぇ!いつまでぐーすか寝てるつもり!?」
突然の罵声&怒鳴り声に起こされ、ムッとなる。どうやら寝落ちしていたらしい。
「てめぇ…人の気持ちい睡眠を邪魔しやg…JK!?」
目の前の光景に眠気が吹っ飛び、目が飛び出そうになる。
「ほ…本物のJK!これまでずっとジジババばっかりで….。マジ天使…。」
「ちょっと!さっきからぶつぶつと、独り言ばっかり!何その目!?こっち見ないでくれる!?」
「いや、俺を呼んだのはあんただろ…。」
茶髪のボブヘアにセーラー服、持ち手に腕を通してリュックの代わりに背負っているサブバック。そして、スニーカー。
これらは目の前の女性がJKであることを示していた。
「はぁ…。ったく、何の用だ?こんな早朝に…。」
時計の針は4時を示している。
「別にいつだっていいじゃない。そんなことより…。」
はい、と言わんばかりに出された手のひらに自分の手をのせる。
「はぁ!?あんた犬?タバコが欲しいって言ってるでしょ!」
「あんたさぁ、ふざけんのもいい加減にしてくれる!?」
「よく初対面の人にそんなこと言えるな、おまえ…。そんなんじゃモテないぞ?」
「やかましいっつーの!」
JKはそう言い捨ててすたすたとどこかへ行ってしまった。睡眠を妨害されるのはこれで二回目だ。俺の唯一の心の休憩なのに…。
「ふぁぁ、やっと寝れる。」
大きなあくびをし、自分ので腕を枕にして目をつむる。いつもだったらこのまま寝れるのだが、先ほどの怒鳴り声で完全に目が覚めてしまったようだ。
「はぁ、あのJKを探すか。だりぃ。」
ぶつぶつと独り言をつぶやきながら立ち上がり、店を出る。外は快晴だった。
いかがだったでしょうか?たった1話ですが、書き終わったとき、自分の首と肩はコンクリートになってました(笑)。