夏を送るサイダーと俺 第二章①
どうも皆さんこんばんは!かものかもです!今回で「なつおれ」の第二章!
どうぞ楽しんでください!
夏を送るサイダーと俺
第二章
生徒手帳
「夏なのに、今日はあんまり暑くないね。」
むすっとして黙っていた俺を気遣っていってくれたのだろうか。それとも、ただ沈黙が嫌だったからなのか。
どちらでもいいが、ありがたいことだった。話していれば嫌なことを考えなくて済む。
「夏って言ってもなおまえ、今日は8月27日だぞ、もう秋になるんだよ。」
「なんか寂しいな…。」
なんなんだコイツ。カリカリしてるかと思いきや、感傷的になって…。
「な…なに!?こっち見んなよ!」
んで、またカリカリ。でも、今までの発言から考えると、ナイーブな人なのだろう。
これではなんで死んだかとか聞けないな。別に聞いても何もないが。とりあえずタバコのことでも聞くか。
「なぁ、なんでタバコが欲しいんだ?おまえ未成年だろ。」
その質問に対し、JKは少し困ったような顔をした。
「なんで、って言われてもね…。なんか必要だと思ったから…かな?」
「やっぱり分からないよなぁ。」
「あんたは分かるの?」
「いや、分からないから聞いたんだろ。」
俺の答えに「そっか。」とJKはため息をつく。
「あんた名前は?」
「は?」
思いもよらぬ質問に思わず声がでる。
「べ、別にそういうことを考えてるわけじゃないから!」
「いや、物に勘違いしてないから…。」
「そ、…で、あんたの名前は?」
今度は少し恥ずかしそうに聞いてきた。
「ない。」
「は?…いやいやいや、ないわけないじゃん。何知られたくないの?それとも、恥ずいの?」
出会ってから初めてこのJKの笑顔を見た。はずなのに、懐かしい感じがする。なぜだろうか?
「まじで、ない。てか、おまえはあんの?」
「あったり前でしょ!あたしは五十嵐 奈津。…その、よろしく。」
嘘だ。嘘だとしか思えない。
「いやいやいや、偽名はいらないって。」
「偽名じゃねーし!ほら!」
そういってJKは持っていたサブバッグの中をごそごそとあさりだした。そして取り出したものは
手帳のようなものだった。
「…生徒手帳?学校名と…。へぇ、お前俺と同い年なんだ。でも、ここに名前なんて書いてないぞ。」
「は?いやここにほら….ない!なんで?ここに書いてあったのに!」
JKが指さしている箇所は空白だった。確かに不自然な空白だ。
「ほんとだもん。嘘じゃないもん!」
幼稚園生のような弁解をするJKの顔はうそをついているような顔には見えない。
「分かってるよ。おまえの言うことは嘘じゃないと思う。」
「…。おまえじゃなくて、奈津だし。」
五十嵐がそっぽを向いてもごもごと言う。
「分かった、分かった。五十嵐な。」
「奈津でいい。」
「んじゃぁ奈津。この世界には名前なんて存在しないんだよ。」
いかがだったでしょうか?ほんとはもうちょい書きたかったんですが、文字数が多くても読みづらいのでここまでにしました。
それでは第二章の二話目でお会いしましょう!